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新公益法人会計基準の徹底解説

財務諸表の種類と範囲 貸借対照表作成時の留意点
正味財産増減計算書作成時の留意点 貸借対照表全般
事業計画書作成時の留意点 貸倒引当金
収支予算書作成時の留意点 有価証券の範囲と評価
事業報告書作成時の留意点 有価証券の評価と会計処理
収支計算書作成時の留意点 特定資産
減価償却資産
減損処理
リース会計
退職給付会計
役員退職慰労引当金
賞与引当金
税効果会計
重要な会計方針

財務諸表の種類と範囲がかわりました。

計算書の種類 ポイント解説
開示すべき決算書類(財務諸表)
・貸借対照表 (1)「特定資産」が区分掲記
(2)正味財産が「指定正味財産」「一般正味財産」に二区分
・正味財産増減計算書 (1)フロー式に統一(ストック式は廃止)
(2)正味財産が「指定正味財産」「一般正味財産」に二区分
・財産目録  
・キャッシュ・フロー計算書 大規模法人に限る
開示しなくてよい内部管理資料
・収支予算書 「事業活動収支の部」「投資活動収支の部」「財務活動収支の部」に三区分
・収支計算書 (1)「事業活動収支の部」「投資活動収支の部」「財務活動収支の部」に三区分
(2)注記の種類を最小限に縮小

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指定正味財産と一般正味財産の違い

指定正味財産 (1)寄付によって受け入れた資産
(2)寄付者等の意思が明確であること
(3)寄付者等の意思により当該資産の使途、処分または保有形態について制約が課されていること
寄付には国や地方公共団体あるいは民間企業からの補助金等を含む

※低廉譲渡による受贈益も寄付に該当する。
一般正味財産 (1)寄付によって受け入れた資産で、寄付者によってその使途が指定されていないもの
(2)財団の事業活動の過程で取得した資産
⇒財団の事業の効率性を判断される。

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貸借対照表関係

固定資産の部に特定資産の部を新設

特定資産の部の中科目として退職給付引当資産、減価償却引当資産など具体的な目的資産を表示する。
(1)特定資産の金額は、退職給付引当金や減価償却累計額を上回ることはできない。
(2)「貸借対照表」の「正味財産の部」の
「指定正味財産」合計」中の(うち特定資産への充当額)および「「一般正味財産」合計中の(うち特定資産への充当額)の合計と資産の部の特定資産の合計金額は一致する。

正味財産の部は「指定正味財産」「一般正味財産」に区分

それぞれの区分について、「うち基本財産への充当額」と「うち特定資産への充当額」が付記される。
(1)それら付記金額は資産の部の「基本財産」および「特定資産」の額と一致します。
(2)旧基準にあった「うち基本金」と「うち当期正味財産増減額」の付記は廃止

前年度と当年度の比較形式

前年度と当年度の差額を増減額として記載する。
(1)新基準以降初年度に限り、前年度分の記載は省略可
(2)特定資産、指定正味財産、一般正味財産の期首残高は、前年度の貸借対照表の期末残高を組み替えて表示する必要がある。

貸借対照表総括表

特別会計がある財団では「貸借対照表総括表」を作成しなければならない。
(1)会計単位相互間の債権・債務が一致していることの確認
(2)会計単位相互間の債権・債務は内部取引消去欄で相殺消去する
(3)大科目および中科目まで表示(小科目は省略

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基本財産と指定正味財産と特定資産の関係

基本財産

「寄付行為」または「定款」で財団を維持するために必要な基本的な財産として定められた資産

「基本財産」と「指定正味財産」との関係

財団設立時の基本財産は創業者からの意思により寄付をうけたものなので、「基本財産」=「指定正味財産」となります。

しかし、財団設立後に財団の事業活動で得た資金で購入した資産を「基本財産」として振り替えることもできるので、その部分の基本財産は「一般正味財産」と対応することになります。

財団設立後、寄付者が基本財産として使うようにと寄付された資産は「指定正味財産」として「基本財産」と対応することになります。

特定資産

特定の目的のために、通常の現金預金や有価証券とは別に区分された預貯金または有価証券

「特定資産」と「指定正味財産」との関係

寄付者が、具体的に使途を指定した場合は正味財産増減計算書の「指定正味財産」で受け入れ、貸借対照表の資産の部の「特定資産」と正味財産の部の「指定正味財産」と対応することになります。

但し、財団その事業活動で得た資金で購入した資産を「特定資産」として振り替えた場合は、貸借対照表の資産の部の「特定資産」は一般正味財産と対応することになります。

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基本金という概念はなくなったのか?

「基本金」という概念はなくなり、そのかわりに…貸借対照表の「正味財産の部」は「指定正味財産」と「一般正味財産」に区分され、それぞれの区分について、「うち基本財産への充当額」と「うち特定資産への充当額」が付記される。
それら付記金額は資産の部の「基本財産」および「特定資産」の額と一致することになります。

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貸倒引当金の規定化

受取手形、未収金、貸付金等の債権は、貸倒引当金を控除した額をもって貸借対照表価額とします。

(1)「金融商品び関する実務指針」を参考にして算定

債権区分 定義 貸倒見積もり高の算定方法
一般債権 経営状態に重大な問題が生じていない債務者に対する債権 当期末債権金額×貸倒実績率
貸倒懸念債権 経営破たんの状況までは至っていないが、債務の弁済に重大な問題が生じている(可能性の高い)債務者に対する債権 財務内容評価法
キャッシュ・フロー見積法
破産更生債権 経営破たんまたは実質的に経営破たんに陥っている債務者に対する債権 財務内容評価法

(2)貸倒引当金の計上基準は「重要な会計方針」として注記しなければならない。

貸倒引当金の注記の記載例はコチラ

貸倒実績率

当期以前3期間の貸倒実績率の平均値
貸倒損失額の範囲には、直接償却した額だけでなく、財務内容評価法等による貸倒引当金繰入額も含まれる。

財務内容評価法

債権額から担保の処分見込額を控除し、その残額について債務者の財政状態を考慮して個別に回収不能額を算定する方法

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有価証券の範囲と評価

有価証券の分類 定義 留意点
満期保有目的の債券 償還期限まで保有するという積極的な意志を持って保有する
償還日の定められた価格変動リスクない国債・地方債、社債・転換社債、新株引受権付社債等の有価証券
保有期間が漠然と長期いだけで、市場金利や相場等の変動で売却が予想される場合は、満期まで保有する意思がないと判断される。
また、満期まで保有する財政的な体力も要件とされる。
子会社株式 営利企業の株式で、財団がその営利企業の全株式の50%超を保有する場合 子会社には、その子会社が50%超の株式を保有する子会社(孫会社)も含まれる。
関連会社株式 営利企業の株式で、財団がその営利企業の全株式の20%から50%以下を保有する場合  
その他有価証券 「満期保有目的の債券」「子会社株式」「関連会社株式」以外の有価証券 売買目的の有価証券(市場価格あり)と長期保有目的の投資有価証券(市場価格あり、なし)に区分される。

※有価証券の保有目的の変更

振り替えの例 コメント
満期保有目的⇒売買目的のその他有価証券に振り替えたり、中途売却 合理的な理由がないかぎり、残り全ての「満期保有目的の債券」を「売買目的有価証券またはその他有価証券に振り替えなければならない。
また、保有目的の変更を行った事業年度を含む2事業年度は、その間に取得した債券を「満期保有目的の債券」に分類することはできない。
その他有価証券⇒満期保有目的債券 満期保有目的は取得時の意思に基づく分類であるため、所得後に満期保有目的債券への振り替えは認められません。

 

保有目的による評価方法

市場価格のある有価証券は原則として時価で評価することになります。

態様 評価方法 貸借対照表科目
満期保有目的の債券 原則:償却原価法
重要性が乏しいときには所得価額も可

減損処理
(1)時価の著しい下落
(2)回復可能性の判定
・基本財産の「投資有価証券」
・特定資産の「○○引当特定資産」
・その他固定資産の「投資有価証券」
子会社株式および関連会社株式 取得価額

減損処理
(1)時価(実価)の著しい下落
((2)回復可能性の判定)
・基本財産の「投資有価証券」
・特定資産の「○○引当特定資産」
・その他固定資産の「子会社株式」「関連会社株式」
その他有価証券 市場価格あり
期末時価
売買目的⇒流動資産の「有価証券」
それ以外⇒
・基本財産の「投資有価証券」
・特定資産の「○○引当特定資産」
・その他固定資産の「投資有価証券」
市場価格なし
取得価額

減損処理
(1)実価の著しい下落
・基本財産の「投資有価証券」
・特定資産の「○○引当特定資産」
・その他固定資産の「投資有価証券」

(1)有価証券の評価方法については重要な会計方針として注記しなければばらない。
  有価証券の注記の記載例はコチラ

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有価証券の減損処理

市場価格のある有価証券 市場価格のない有価証券
満期保有目的債券
子会社株式・関連会社株式 その他有価証券
子会社株式・関連会社株式
時価の著しい下落 50%超下落⇒減損処理する
30%以上50%未満⇒財団の判断
30%未満⇒減損処理なし
50%超下落⇒減損処理する
50%以下の下落の場合の基準はない。
回復可能性の検討 期末後1年以内に時価が回復する合理的な根拠がない限り回復の見込みはないと考える。 規定なし

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有価証券の評価と会計処理

借方 貸方
償却原価法 債券の購入金額と償還金額(額面)との差額を毎期帳簿価額に加減する(定額法) 期末 投資有価証券(BS) 雑収入(PL経常)-有価証券利息
時価法 《切放法(きりはなし)》理論的
期末に時価評価した金額で繰越し処理をし、売却時の原価も前期末の時価を用いる。
前期末 有価証券(BS) 雑収入(PL経常)-有価証券評価益
当期首 なし
売却時 現金 有価証券(前期末時価
雑収入(PL経常)-有価証券運用益
《洗替法(あらいがえ)》
前期末に時価評価した金額を当期首に戻し入れし、所得原価に戻した上で当期末に改めて時価評価する。
売却時の原価も当初の取得価額となる。
前期末 有価証券(BS)
雑収入(PL経常)-有価証券評価益
当期首 雑収入(PL経常)-有価証券評価益 有価証券(BS)
売却時 現金 有価証券(取得価額
雑収入(PL経常)-有価証券運用益

上記は「売買目的有価証券」の場合の仕訳ですが、それ以外の有価証券の場合は勘定科目が異なりますのでご注意ください。

市場価格のある有価証券(時価法)

   売買目的有価証券 その他有価証券
貸借対照表科目
大科目 流動資産 その他固定資産 基本財産
中科目 有価証券 投資有価証券 投資有価証券
正味財産増減計算書 時価評価損益 (一般正味財産の経常増減の部)
有価証券評価損益
(一般正味財産の経常増減の部)
投資有価証券評価損益
(指定正味財産の部)
基本財産評価損益
(一般正味財産の経常外増減の部)
基本財産評価損益
売却損益 (一般正味財産の経常増減の部)
有価証券運用損益
(一般正味財産の経常増減の部)
投資有価証券売却損益
(一般正味財産の経常外増減の部)
基本財産売却損益
(指定正味財産の有価証券の売却の場合は、上記仕訳の他に「指定正味財産増減の部(一般正味財産への振替額)」から「一般正味財産増減の部」の経常外収益への振替処理がなされる。
また、収益事業を行っている財団の場合は「税効果会計」の仕訳も必要になります。
その場合は「(投資)有価証券評価損益」のうち32%を「繰延税金資産・負債」として認識します

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特定資産

特定資産とは、特定の目的の為に保有する預金、有価証券等の資産でをいい、固定資産の部に「特定資産の部」を区分掲記する。

特定資産 財源等
○○会館建設積立資産 一般正味財産
退職給付引当資産
(退職給付引当金の金額の範囲内で積み立てる)
退職給付引当金
(退職金期末要支給額の100%)
減価償却引当資産
(減価償却累計額の金額の範囲内で積み立てる)
減価償却累計額
(所定の耐用年数による償却累計額)
特定資産の内容が定期預金(普通預金)のみで構成されていれば「○○引当預金」として、有価証券のみで構成されていれば「○○引当有価証券」と表示するのが望ましい。

特定資産は、次の事項を定めた取扱要領を作成することが望ましい。

  1. 目的
  2. 積立の方法
  3. 目的取り崩しの要件
  4. 目的外取り崩しの要件
  5. 運用方法
  6. その他

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減価償却資産

新公益法人会計基準では減価償却が強制されます。

一般正味財産で充当された固定資産 指定正味財産で充当された固定資産
借方 貸方 借方 貸方
取得時 備品(BS) 現金 備品(BS) 備品受贈益(指定)
 
減価償却 減価償却費(一般経常) 備品(BS) 減価償却費(一般経常) 備品(BS)
一般正味財産への振替額(指定) 備品受贈益(一般経常外

(1)固定資産の減価償却の方法は重要な会計方針として注記する必要があります。
   固定資産の減価償却の注記の記載例はコチラ

(2)新会計基準適用初年度における減価償却の処理はコチラ

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減損会計

資産(有形固定資産及び無形固定資産)の時価が著しく下落したときは、回復の見込みがあると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない。
但し、使用価値が時価より高い場合は使用価値をもって貸借対照表価額とすることができる。

認識する損益 一般正味財産で充当された固定資産 指定正味財産で充当された固定資産
原則 固定資産の期末帳簿価額と時価との差額 正味財産増減計算書の経常外収益(費用)に計上する。 正味財産増減計算書の経常外収益(費用)に計上する。
例外 固定資産の期末帳簿価額としよう価値との差額 上記仕訳の他に「指定正味財産増減の部(一般正味財産への振替額)」から
「一般正味財産増減の部」の経常外収益への振替処理がなされる。

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リース会計

種類 要件 所有権関係 会計処理
ファイナンス・リース ・リース料総額が固定資産の取得原価をほぼカバー
・中途解約不能(解約したら残存リース料の支払義務)
(所有権移転リース)
リース契約終了後、所有権が借り手に移転
リース資産を固定資産計上し、減価償却をする。
(所有権移転外リース)
リース契約終了後、所有権は貸し手のままであり、返却を要する。
原則として、リース資産を固定資産計上し、減価償却をするが、一定の注記を条件に通常の賃貸借取引にかかる方法によることができる。

(※但し、1件当りのリース料総額が300万円未満の場合は資産計上または注記を省略可能)
オペレーティング・リース 上記以外 所有権は貸し手 通常の賃貸借取引にかかる方法

※新会計基準適用前に開始されたリース取引の取扱

所有権移転ファイナンス・リース

適用初年度の期首の未経過リース料残高相当額を取得価額とし、期首に取得したものとしてリース資産を計上する。

所有権移転外ファイナンス・リース

(1)適用初年度の期首の未経過リース料残高相当額を取得価額とし、期首に取得したものとしてリース資産を計上する。
(2)従来どおり、賃貸借取引に準じた会計処理を行うかわりに所定の注記をする。

オペレーティング・リース

所定の注記をする。

 

リース取引に係る財務諸表注記

★所有権移転外ファイナンス・リース取引

(1)リース物件の取得価額相当額、減価償却累計額相当額及び期末残高相当額

器具備品 車両運搬具 合計 計算上の注意
取得価額相当額 リース料総額から利息相当額を控除した額
減価償却累計額相当額 通常の減価償却の方法に準じて算定
期末残高相当額 取得価額相当額−減償却価累計額相当額

(2)未経過リース料期末残高相当額
1年以内 1年超 合計 計算上の注意
未経過リース料期末残高相当額 利息相当額の合理的な見積額を控除する。

(3)当期の支払リース料、減価償却費相当額及び支払利息相当額
支払リース料       
減価償却費相当額
支払利息相当額


(4)減価償却費相当額の算定方法
 定額法によっている。

(5)利息相当額の算定方法
 リース料総額とリース資産計上価額との差額を利息相当額とし、各期への配分方法については、利息法によっている。

★オペレーティング・リース取引

1年以内 1年超 合計
未経過リース料

退職給付会計

原則法

将来の退職給付を見積もり、現在までに発生していると認められる退職給付費用を現在価値に割り引いた額を「退職給付債務」とし、そこから外部に積み立てている「年金資産」の時価を控除した額が「退職給付引当金」である。

簡便法

退職金の期末要支給額の100%を「退職給付引当金」残高とみなす。


  借方 貸方 備考
新基準適用初年度期首 退職給付費用(注1) 退職給付引当金(BS) (注1)会計基準変更時差異であり、一括費用処理する場合は(一般経常外)、15年以内の均等償却をする場合は(一般経常)
退職者に対する退職金支払 退職給付引当金(BS) 預金(BS)
期末決算時 退職給付費用(一般経常) 退職給付引当金(BS)
(注2)
(注2)期末要支給額の100%

★退職給付関係の注記

(1)採用している退職給付制度の概要
 確定給付型の制度として、適格退職年金制度および退職一時金制度を設けております。

(2)退職給付債務及びその内訳

  1. 退職給付債務
  2. 年金資産
  3. 会計基準変更時差異の未処理額
  4. 退職給付引当金(1+2+3)
(3)退職給付費用に関する事項
  1. 勤務費用
  2. 会計基準変更時差異の費用処理額
  3. 退職給付費用(1+2)

(4)退職給付債務等の計算の基礎に関する事項
 退職給付債務の計算にあたっては、適格退職年金制度については献金財政計算の責任準備金を基礎とし、退職一時金制度については期末自己都合要支給額を基礎として計算している。

(5)会計基準変更時差異の処理年数

 

(1)退職給付引当金の計上基準はは重要な会計方針として注記する必要があります。
  退職給付引当金の注記の記載例はコチラ

(2)新会計適用初年度の留意点はコチラ

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賞与引当金

支給時に費用とするのではなく、支給対象期間に応じて費用計上する必要がある。
つまり、未だ支給時期は到来していないが、支給対象期間が当期となる場合には当期の賞与負担額を見積もり、「賞与引当金」として会計処理する。

支給額 支給額の算定方法 勘定科目
確定 支給額が支給対象期間に対応して算定されている。 未払費用
支給額が支給対象期間以外の臨時的な要因(成功報酬等)に基づいて算定されている場合 未払金
未確定 賞与引当金

(1)賞与引当金の計上基準は重要な会計方針として注記する必要があります。
  賞与引当金の計上基準の注記の記載例はコチラ

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役員退職慰労引当金

役員退職慰労引当金は、役員(理事)が退任に際し法人から、在任期間中の職務執行に対する対価として受け取る一時金の慣行があり、その支給金額が内規等により適切に見積もることができる場合には、期末時に「役員退職慰労引当金」を計上することが望ましい。

役員退職慰労引当金の計上基準は重要な会計方針として注記する必要があ
 役員退職慰労引当金の計上基準の記載例はコチラ

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税効果会計

実効税率の計算

みなし寄付金考慮あり
みなし寄付金考慮なし

税効果会計の注記

(1)繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因別の内訳

金額
(短期的な一時差異)
繰延税金資産(流動資産)
(長期的な一時差異)
繰延税金資産(固定資産)
繰延税金資産合計

(2)法人税法上の非収益事と収益事業の区分

項目 非収益事業 収益事業 合計
税引前当期一般正味財産増減額(A) 30 213 243
寄付金損金算入限度額(B) - 90 90
小計((C)=(A)+(B) 30 303 333
法人税、住民税及び事業税(D) - 126 126
法人税等調整額(E) - △14 △14
当期一般正味財産増減額(A)−(D)−(E) 30 101 131

(3)法人税法上の収益事業に係る法定実効税率と税効果会計適用後の法人税等の負担率との差異の原因となった主な項目別の内訳

項目 計算式
法定実効税率 26%
(調整)
  寄付金等永久に損金に算入されない項目
11% (他会計繰出金222−限度額90)×26%÷303
税効果会計適用後の法人税等の負担率 37% (法人税等126−調整額14)÷303

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正味財産増減計算書関係

正味財産増減計算書の構成

(1)「一般正味財産増減の部」と「指定正味財産増減の部」に区分

指定正味財産 (1)寄付によって受け入れた資産
(2)寄付者等の意思が明確であること
(3)寄付者等の意思により当該資産の使途、処分または保有形態について制約が課されていること
⇒いわゆる資本取引に近い
一般正味財産 (1)寄付によって受け入れた資産で、寄付者によってその使途が指定されていないもの
(2)財団の事業活動の過程で取得した資産
⇒財団の事業の効率性を判断される。

(2)「経常増減の部」と「経常外増減の部」に区分

(3)「指定正味財産の部」から「一般正味財産の部」への振替

《一般正味財産増減の部》

経常増減の部

経常収益
  • 有価証券評価益
    一般正味財産から充当した売買目的の有価証券を時価評価した場合の評価益
  • 基本財産評価益
    市場価格のある「その他有価証券」を基本財産として一般正味財産から充当した場合は、時価評価することになるが、その場合の時価評価益
  • 投資有価証券評価益
    一般正味財産から充当した市場価格のある「その他有価証券」を時価評価した場合の評価益
経常費用
事業費

(4)減価償却費指定正味財産から充当した固定資産の減価償却費

管理費
  • 有価証券評価損
    一般正味財産から充当した市場価格のある有価証券を時価評価しな場合の評価損
  • 基本財産評価損
    市場価格のある「その他有価証券」を基本財産として一般正味財産から充当した場合は、時価評価することになるが、その場合の時価評価損
  • 投資有価証券評価損
    一般正味財産から充当した市場価格のある「その他有価証券」を時価評価した場合の評価損

 

経常外増減の部

経常外収益
  1. 基本財産受贈益
    経常外費用の「(1)基本財産評価損」と対応
  2. 子会社株式・関連会社株式受贈益
    経常外費用の「(2)子会社株式・関連会社株式評価損」と対応
  3. 投資有価証券受贈益
    経常外費用の「(3)投資有価証券評価損」と対応
  4. 固定資産受贈益
    指定正味財産から充当した固定資産の減価償却費(経常事業費の(4))と対応
経常外費用
  1. 基本財産評価損
    基本財産として一般正味財産から充当した有価証券を減損処理した場合の評価損
    基本財産として指定正味財産から充当した有価証券を減損処理した場合の評価損
  2. 子会社株式・関連会社株式評価損
    一般正味財産から充当した有価証券で原価法を適用する場合の減損処理による評価損
    指定正味財産から充当した有価証券で原価法を適用する場合の減損処理による評価損
  3. 投資有価証券評価損
    一般正味財産から充当した有価証券で原価法を適用する場合の減損処理による評価損
    指定正味財産から充当した有価証券で原価法を適用する場合の減損処理による評価損
当期一般正味財産増減額
《指定正味財産増減の部》
  • 受取補助金等
  • 受取負担金
  • 受取寄付金
  • 固定資産受贈益
  • 基本財産評価損益
    ◇市場価格のある「その他有価証券」を基本財産として指定正味財産から充当した場合は、時価評価することになるが、その場合の時価評価損益(償却原価法の償却損益を含む)
    ◇「満期保有目的債券」を基本財産として指定正味財産から充当した場合は償却原価法を適用するが、その場合の償却差額
  • 特定資産評価損益
    ◇市場価格のある「その他有価証券」を特定資産として指定正味財産から充当した場合は、時価評価することになるが、その場合の時価評価損益
    ◇「満期保有目的債券」を特定資産として指定正味財産から充当した場合は償却原価法を適用するが、その場合の償却差額
  • 投資有価証券評価損益
    ◇指定正味財産から充当した市場価格のある「その他有価証券」を時価評価した場合の評価損益
  • 一般正味財産への振替額
    (1)(2)(3)(4)の合計
  • 当期指定正味財産増減額

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貸借対照表と正味財産増減計算書の関係

「正味財産増減計算書」の中で損益計算書に相当するのが、「一般正味財産増減の部」であり、この区分で計算された「一般正味財産期末残高」が、貸借対照表の「一般正味財産」に転記されます(一致します)。

「正味財産増減計算書」の中でいわゆる資本取引に相当するのが、「指定正味財産増減の部」であり、そこで計算された「指定正味財産期末残高」が、貸借対照表の「指定正味財産」に転記されます(一致します)。

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重要な会計方針

当期から「公益法人会計基準」(平成16年10月14日 公益法人等の指導監督等に関する関係省庁連絡会議申合せ)を採用しております。 →適用初年度は記載する

有価証券の評価基準及び評価方法

  1. 売買目的の有価証券
    時価法(売価原価は移動平均法により算定)を採用しております。
  2. 満期保有の有価証券
    償却原価法(定額法)を採用しております。
  3. 子会社株式及び関連会社株式
    移動平均法による原価法を採用しております。
  4. その他有価証券
    時価のあるもの
    決算日の市場価格等に基づく時価法(評価差額は正味財産増減額として処理し、売却原価は移動平均法により算定)を採用しております。
    時価のないもの
    移動平均法による原価法を採用しております。

棚卸資産の評価基準及び評価方法

最終仕入原価法による原価法を採用しております。

固定資産の減価償却方法

  1. 有形固定資産
    定率法を採用しております。
    但し、建物については定額法を採用しております。
    なお、主な耐用年数は次のとおりであります。
    建物  ・・・30年〜50年
    什器備品・・・3年〜10年
  2. 無形固定資産
    定額法を採用しております。

引当金の計上基準

  1. (1)貸倒引当金
    受取手形、未収金、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。
  2. (2)賞与引当金
    職員の賞与金の支払に備えて、賞与支給見込額の当事業年度負担額を計上しております。
  3. (3)退職給付引当金
    職員の退職給付に備えるため、当事業年度における退職給付債務に基づき、当事業年度末において発生していると認められる額を計上しております。
  4. (4)役員退職慰労引当金
    役員の退職慰労金の支給に備えるため、内規に基づく期末要支給額を計上しております。

リース取引の処理方法

リース物件の所有権が借主に移転すると認められるもの以外のファイナンス・リース取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理によっております。

消費税等の会計処理

消費税等の会計処理は、税込方式によっております。

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事業計画書

公益法人の活動の本質は、「事業計画」で計画された事業の実現である。

  区分 内容 留意事項
寄付行為記載事業 特定事業 寄付行為の中で具体的な内容が特定されている事業 事業費は総支出(当期支出合計+次期繰越収支差額)の2分の1以上
目的適合性、内容明確性、非営利性
付随事業 「その他」の事業
(1)公益事業
(2)収益事業
収益事業の要件
(1)総支出額の2分の1以下の規模であること
(2)社会的信用を傷つけない業種であること
(3)利益の2分の1以上を公益事業のために使用
公益法人は寄付行為に記載のない事業を行うことはできない。

事業計画作成上の留意点

  1. 特定事業の項目別に記載すること
    寄付行為の項目別に記述するのが原則
  2. 重点事業のランク付けを行う
    事業の優先順位を明らかにしておき、年間のスケジュールを立てる。
  3. 資金的裏づけを明確にする。
    財源を確保できない事業は含めてはいけない。
  4. 中長期事業計画の裏づけがあること。
    3年〜5年の中期事業計画を立て、毎年見直すローリング方式によることが望ましい。
  5. 来年度と当年度の事業計画の継続性・整合性を重視
    寄付行為に記載された事業は継続的に実施しなくてはならない。
  6. 当年度の事業報告の内容を予想すること。

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収支予算書

収支予算書の構成と作成時の留意点

項目 留意点
(1) 事業活動収支の部
事業活動収入 基本財産からの収入「基本財産運用収入」
運用財産からの収入「雑収入」
 
事業活動支出   「内部留保」≦(事業費+管理費+事業に必要な固定資産取得額)×30%

内部留保=総資産−((1)〜(5))
(1)基本財産
(2)事業目的が限定的で取り崩しが制限され、公益事業目的の基金
(3)法人運営に不可欠な、法人事務事務所、事業所、土地、設備機器等の固定資産
(4)特定資産
(5)負債性引当金(特定資産を超過した退職給付引当金部分等
(前受会費はマイナスできない)
事業費支出 事業費は管理費を上回っていること
特定事業費は付随事業費を上回っていること
特定公益増進法人であ特定事業費は総事業費の70%以上を占めること
管理費支出 管理費は事業費を下回っていること。
(2) 投資活動収支の部 
投資活動収入  
投資活動支出  
(3) 財務活動収支の部   
財務活動収入    
財務活動支出    
(4) 予備費支出  総予算(収支予算書の収入合計)の2〜3%が適当 
次期繰越収支差額 収支均衡が理想 多額なプラスになりそうなときは「特定資産」の積立で内部留保を抑制する必要あり。

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(1)資金の範囲

原則として現金預金および短期金銭債権債務
流動資産の現金預金 資金
棚卸資産 非資金
売買目的有価証券 資金
未収入金・未払金 資金
立替金・預り金 資金
仮払金・仮受金 資金
前払金・前受金 資金に含めることができる
短期貸付金・短期借入金 資金に含めないことができる。
一年内回収(返済)予定長期貸付金・長期借入金 資金に含めないことが適切
特定資産 非資金

(2)内部留保を抑制のための特定資産・基金の要件

  1. その引当資産や基金についての規程を設け、その財産と果実の使途を明確にすること1
  2. その引当資産や基金を容易に取り崩すことができないように、理事会の承認事項とすること
  3. 事業計画の中でその引当資産や基金についての積立・取り崩しを明確にすること

(3)特別会計の総括表

収支予算書総括表のチェックポイント

会計単位相互間の繰入収入と繰入金っ支出が一致していること

大科目および中科目を表示すること

(4)収支予算書に付す注記事項

1.短期借入金の最高限度額の注記

短期借入金を資金の範囲に含めた場合に
短期借入金の期中残高についての最高限度額の承認を、予算の段階で得ることにより、その範囲内で借り入れを行う権限を付与する。

2.債務負担額の注記

契約に基づいて、次年度以降において許容される債務負担額とその累計額を注記
(例:建設未払金、割賦未払金)
(但し、動産・不動産の賃借料(リース料)は注記の対象に含めないことができる)

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事業報告書

事業報告書の意義

1.事業計画の遂行状況を記載
2.公益法人の活動と実態を明らかにする。

(1)法人の概況

  1. 設立年月日
  2. 寄付行為に定める目的
  3. 寄付行為に定める事業内容
    現在実施していない事業内容があれば括弧書きや注記で記載
  4. 所轄官庁に関する事項
    当該公益法人の設立認可および指導監督に関する権限を有する所轄官庁を○省△局□課まで記載する。
  5. 会員の状況
    会員の種類ごとに対前年対比の形式で記載
  6. 主たる事務所
    支部がある場合は支部名、支部所在地も記載
  7. 役員等に関する事項
    常勤については担当職務、非常勤については現職を記載
    評議員も氏名、現職を記載することが望ましい
  8. 職員に関する事項
    外部からの出向職員を含む。
    員数は対前年対比形式で平均年齢や平均勤続年数も記載
  9. 許認可に関する事項
    寄付行為の変更など許認可に関する事項

(2) 事業の状況

  1. 事業の実施状況
    事業計画の遂行状況を具体的に記載
    基本的に、事業計画に予定されていない事業は行うことはできない。
  2. 重要な契約に関する事項
    長期借入金契約、重要な資産の売買契約等の相手方、金額、概要
  3. 役員会等に関する事項
    理事会、評議委員会の開催年月日および議事事項
  4. 収支および正味財産増減の状況ならびに財産の状況の推移
    主要項目の5ヵ年推移(著しい増減には主因を説明)

(3) 法人の課題

今後対処すべき課題

(4) 株式保有している場合の概要

  1. 名称
  2. 事務所の所在地
  3. 資本金
  4. 事業内容
  5. 役員の数および代表者氏名
  6. 従業員数
  7. 当公益法人が保有する持ち株割合
  8. 保有する理由
  9. 当該株式の入手日
  10. 当該公益法人と当該営利企業との関係(人事、資金、契約)

 

(5) 決算後生じた法人の状況に関する重要な事実

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収支計算書

項目 留意点
(1) 事業活動収支の部
事業活動収入 基本財産からの収入「基本財産運用収入」
運用財産からの収入「雑収入」
 
事業活動支出  
事業費支出
管理費支出
(2) 投資活動収支の部 
投資活動収入  
投資活動支出  
(3) 財務活動収支の部   
財務活動収入    
財務活動支出    
(4) 予備費支出
前期繰越収支差額 前期の収支計算書の次期繰越収支差額の決算額を記載
次期繰越収支差額 貸借対照表の資金残高と一致
資金の範囲に含めた科目によりその内容を注記

(1)予算と決算額の対比形式

特に予算を超える支出がある場合には「科目の流用」「予備費の使用」「予算の補正」を行って、予算の範囲内の支出に修正することが望ましい。

科目の流用 最小単位の科目間で流用ができる。
中科目の範囲内で小科目間の科目予算の流用ができる。
(大科目の範囲内で中科目間の科目予算の流用はできる)
大科目間での流用(例えば事業費と管理費間)はダメ
備考欄にFROM TOがわかるように記載(○○へ流用、□□から流用)
予備費の使用 予備費の使用は「予算額」の欄で行い、
当初予備費額の下に△で使用額を二段書きする。
決算額の欄には「―」と表記する。
備考欄にその使用先を注記する。
予算の補正 理事会の承認のもと、予算を作り直すこと。
その後主務官庁に補正収支予算書を再提出しなくてはならない。

(2)特別会計の総括表

収支計算書総括表のチェックポイント

会計単位相互間の繰入収入と繰入金っ支出が一致していること

大科目および中科目を表示すること