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退職金の法律Q&A
退職金は必ず払わなければならないか?
当社は従業員が20人います。就業規則は作成して労働基準監督署に提出してありますが、退職金規定(退職金規程)はつくっていません。
しかし、実際に退職者がでたときは、社長がそのときの会社の業績や、本人の功績を考えて退職金を払ってきました。
この度、退職者がでたのですが、会社の業績が悪いから退職金を払わなかったのですが、後日その従業員から、過去の退職金支給の実績があるから自分にも支払えといってきました。
退職金は必ず払わなければならないのでしょうか?
退職金は、退職金規程(退職金規定)がなければ、支払いの義務はありません。
ただし、退職金規程(退職金規定)は労働基準監督署に提出していなくても、従業員さんたちに周知していれば、従業員さんたちの既得権になります。
また、ちゃんとした退職金規定(退職金規程)はなくとも、過去の退職金支給実績にきちんとした計算ルールがあり、従業員さんたちもそのことを認識している場合は既得権とみなされる場合があります。

突然引継ぎもせずに退職した従業員に退職金をはらいたくない!
会社の就業規則には「会社の承諾を得ずに退職したものには退職金を支給しない」とうたっていますので、突然会社を辞めた従業員に退職金を払わないことはできますか?
過去の判例上、退職金を全額はらわないことは、労働者の職業選択の自由に反するとして認められません。
ただし、退職金規程(退職金規定)において、
「退職日の○週間前までに申し出て、引継ぎをおこなうこと。十分な引継ぎを行わなかったもの退職金は○%減額する」
と退職金の一部カットを明文化することは認められます。

退職後に同業他社に転職した元従業員に退職金をはらいたくない!
従業員が会社を辞めたあとに、ライバル会社に転職したことを聞きつけました。
従業員にも競業避止義務はあるはずなので、退職金は払わずにすみますか?
退職後の競業避止義務違反については退職金規定(退職金規程)で具体的な取り決めをしていない限りは、退職金をはらわなければならない。
退職金規程(退職金規定)において「退職後の競業避止義務」の特約を明記する必要があります。
・どんな職種、業務を対象とするのか
・制限年数は何年か
・対象地域はどうするか
・代償的な措置はどうするか

パートでも退職金を払わなければならないか?
パートタイマーですが、本人からの希望で社会保険に加入させていたものが退職したときに、パートタイマーであることを理由に退職金を払わなかったのですが、「自分は正社員と同じ仕事を同じ時間だけ行っていたにもかかわらず、正社員と差別的名な扱いをうけるのは不当である」と訴えられました。
パートであっても正社員と同等の退職金を払わないといけないのですか?
退職金規定にパートには退職金を支給しないと規定がなければ払わなければなりません。
今後は、退職金規定(退職金規程)に「退職金は正社員に対して支給することとし、パートタイマーには支給しない」と規定しておくこと。
また、就業形態がまぎらわしい労働者については「正社員雇用契約書」もしくは「パートタイマー雇用契約書」をちゃんと取り交わしましょう。
このことは、嘱託・臨時社員・派遣労働者・再雇用者なども同様ですので、退職金規定(退職金規程)上で明確に定義し、退職金の支給条件を明確にしておきましょう。

退職金は従業員の退職後すぐに払わないといけないか?
いままで退職金の積み立てをしてこなかったために、退職金資金がありません。
資金繰りが苦しいのにすぐに払わなければならないのですか?
原則として7日以内に払わなければなりません。
ただし、就業規則や退職金規程(退職金規定)に、退職金の支払期日を定めている場合は、7日を超えても差し支えありません。
また、分割支給をする場合は労使十分な話し合いが必要です。

退職した従業員が業務上横領した場合、退職金の減額・不支給ができるか?
就業規則もしくは退職金規定(退職金規程)に退職金の減額・不支給の事由を定めていなかったのですが、業務上横領であれば、当然に退職金をはらわなくてすむのですか?
退職金は全額支払い、損害賠償請求を別におこなうことになります。
労働者が業務上横領などをし、会社に損害を与えた場合、就業規則や退職金規程(退職金規定)で労働者が業務上横領した場合の退職金の不支給・減額の事由を定めている場合には、この定めとおり退職金の不支給・減額は認められますが、この規定がない場合は、退職金は全額しはらしい、損害賠償請求を別に行う必要があります。
また、懲戒解雇になると自分が不利になるために、処分前に退職願を提出する労働者もいますので、この退職願を承諾したと解されないようにするように注意しなければなりません。