平成21年度（2009年度）税制改正大綱の解説

平成21年度・税制改正・法人税・所得税・土地・建物税制の解説は
杉野泰雄公認会計士事務所（福岡市博多区博多駅前福岡センタービル）

相続税の納税猶予制度	欠損金の繰り戻し還付制度の復活	住宅取得等のための金銭贈与に係る贈与税の時限的軽減措置（案）
贈与税の納税猶予制度	法人税率の引下げ	交際費課税の軽減（案）
遺留分に関する民法特例	人材投資促進税制の延長	研究開発税制の拡充（案）
	中小企業等基盤強化税制の延長
	情報基盤強化税制の改正
	エネルギー需給構造改革推進投資促進税制の拡充
	企業再生時の仮装経理法人税額の還付
	企業再生関係税制の拡充
	長期保有土地等の1000万円控除
	先行取得土地の課税の特例
	棚卸資産の評価方法

相続税の納税猶予制度

制度の概要

経営承継相続人が納付すべき相続税のうち、相続によって取得した株式にかかる課税価額の80％部分の納税が猶予される。（会社の発行済み株式総数の3分の2が限度）

ここがポイント！

• 適用開始日＝平成20年10月1日
• 単なる納税猶予であり、一定の場合に一括納税する場合もある。
• すでに経営承継相続人が保有していた株式は納税猶予されない。
• 贈与税の納税猶予を適用しない限りは、生前に経営承継相続人に自社株を贈与しないほうが有利
• すでに相続時精算課税制度により経営承継相続人に贈与している場合は平成22年3月31日までに納税猶予制度を選択移行可(但し、自社株の10％評価減の特例の届け出を提出している場合のみ）
• 完全議決権制限株式は対象外
• 最大53％の納税猶予効果（80％×2／3）
• 小規模宅地特例と完全併用可

実務上の手続き

経済産業大臣		相続発生時	対象企業	被相続人	相続人
経済産業大臣	確認	事前	・中小企業基本法上の中小企業か ・資産保有、資産運用会社ではないこと	・代表者であること（であったこと） ・株式を50％超保有（同族関係者含む） ・同族関係者間で筆頭株主	経営承継相続人候補者の特定
相続発生
経済産業大臣	認定	相続発生から10ヶ月以内	同上	同上	・代表者であること ・相続遺贈により株式を50％超保有したこと（同族関係者含む） ・同族関係者間で筆頭株主になったこと
経済産業大臣	報告	5年間 （毎年）	・雇用の80％以上を維持 ・収入総額が1円以上 ・解散していない ・減資をしていない ・中小企業基本法上の中小企業である ・資産保有運用会社ではない	―	・代表者であること ・先代経営者の親族であること ・代表権に制限が加えられていない ・相続株式の継続保有 ・筆頭株主であること ・議決権割合が50％以上
経済産業大臣 税務署		それ以降 （3年ごと）	―	―	・相続株式の継続保有

ここがポイント！

• 贈与税の納税猶予を適用しなければ、後継者に50％超の生前贈与をしてはいけない
• 雇用の80％維持の対象は社会保険加入の従業員（役員は対象外）
• どんなに経営が苦しくなっても大規模なリストラができない。
• 5年間は組織再編やＭ＆Ａが制限される。
• 報告基準日は被相続人の死亡日か経営承継相続人の代表者就任日のいずれか遅い日
• 5年以降は3年置き
• 利子税は2．2％（本則3．6％）
• 特例対象株式の担保提供（税務署）

猶予された納税の出口

免除

• 経営承継相続人の死亡
• 会社が破産か特別清算
• 経営承継相続人が次の後継者に一括贈与
• 対象株式の時価が納税猶予額を下回る中、当該株式を譲渡した場合の時価を超える猶予額は免除

過去5年間経営承継相続人および生計を一にする者に対する配当および過大役員給与等相当額は免除されない。

納税

（5年間の事業継続期間中）

• 自主解散（一定の合併は除く）、破産、特別清算
• 休業（総収入がゼロ）
• 継続保有対象株式の売却
• 雇用が80％を下回る
• 経営承継相続人が代表権の制限を受ける（共同代表他）
• 経営承継相続人が代表者でなくなる
• 経営承継相続人の議決権割合が50％未満になる
• 経営承継相続人が同族関係者の中で筆頭株主でなくなる
• 普通株式から議決権制限株式への変更
• 欠損補てん目的以外の減資
• 資産保有会社、資産運用会社に該当
• 経済産業大臣への毎年の報告を怠ったとき

（5年経過後）

• 継続保有株式の譲渡割合に応じた納税

他の特例との関係

自社株の10％評価減目的の相続時精算課税贈与をしている場合は平成22年3月31日までに納税猶予制度を選択移行可（この選択届をだしていれば、10％評価減と納税猶予制度のどちらも選択可）

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贈与税の納税猶予制度

制度の概要

現経営者が所有している自社株式を後継者に一括贈与した場合は、後継者の贈与税の100％を猶予する。
（会社の発行済み株式総数の3分の2が限度）

ここがポイント！

• 適用開始日＝平成21年4月1日
• 単なる納税猶予であり、相続発生時には相続財産に組み込まれる。
• 相続財産に組み込まれるときの評価額は贈与時の時価
• 相続時精算課税制度との併用可能（3分の2⇒納税猶予、3分の1⇒相続時精算課税）
• 相続税の納税猶予の条件を満たせば80％が納税猶予される
• すでに経営承継相続人が保有していた株式は納税猶予されない
• 同一後継者に相続時精算課税と併用可

実務上の手続き

経済産業大臣		贈与	対象企業	先代経営者	後継者
1	確認	事前	・中小企業基本法上の中小企業か ・資産保有、資産運用会社ではないこと	・代表者であること（であったこと） ・贈与者と親族関係者の持ち株割合が50％超 ・同族関係者間で筆頭株主	・先代経営者の親族であること ・事業承継計画
一括贈与の実行
2	認定	贈与年の翌年の1月15日まで	同上	・過去代表者であったこと ・贈与日までに役員を退任していたこと ・贈与者と親族関係者の贈与直前の持ち株割合が50％超 ・同族関係者内で筆頭株主	・贈与時に代表者であること ・贈与により株式を50％超保有したこと（同族関係者含む） ・同族関係者間で筆頭株主であること ・20歳以上であること ・役員就任から3年以上経過
3	報告	5年間	・雇用の80％以上を維持 ・収入総額が1円以上 ・解散していない ・減資をしていない ・中小企業基本法上の中小企業である ・資産保有運用会社ではない	―	・代表者であること ・代表権に制限が加えられていない ・相続株式の継続保有 ・筆頭株主であること ・議決権割合が50％以上
		それ以降	―	―	・相続株式の継続保有

ここがポイント！

• 経済産業大臣の確認を受けるまでは後継者に50％超の生前贈与をしてはいけない
• 先代経営者は後継者に一括贈与をする前に役員を退任しなければならない（役員の分掌変更が含まれるかは要確認）
• 贈与を受ける前に後継者は代表者になる必要がある。
• 後継者は一括贈与をうけるまでに役員就任から3年以上で20歳以上でなければならない
• 雇用の80％維持の対象は社会保険加入の従業員（役員は対象外）
• どんなに経営が苦しくなっても大規模なリストラができない。
• 5年間は組織再編やＭ＆Ａが制限される。

猶予された納税の出口

免除

• 先代経営者の死亡⇒相続税の納税猶予制度に移行可
• 後継者の死亡
• 会社の破産、特別清算
• 対象株式の時価が納税猶予額を下回る中、当該株式を譲渡した場合の時価を超える猶予額は免除

納税

贈与時の時価をもって他の相続財産に合算

相続時精算課税との比較

	贈与時の課税	相続時の課税標準	相続時の課税
相続時精算課税	（贈与財産ー2500万円）×20％	贈与時の時価	他の相続財産に組戻されて相続税額の計算 相続税額ー贈与税額の精算
贈与税納税猶予	ゼロ	同上	他の相続財産に組戻されて相続税額の計算 （相続税額の20％を納税し、80％は相続税の納税猶予制度に移行可）

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遺留分に関する民法特例

制度趣旨

遺留分は相続人が相続することができる最低限の相続分であり、民法によって保障されている。
しかし、遺留分の請求による後継者以外への事業用財産の拡散を回避するために民法の特例が制定

除外合意

要件

・推定相続人全員の合意

・合意対象株式を除くと、後継者が議決権の過半数を確保できないこと

・後継者が合意対象の株式を処分した場合や、先代経営者が生存中に後継者が代表者でなくなった場合に、後継者以外のものが一定の措置をとることができる定めがあること

・後継者による経済産業大臣の確認

・家庭裁判所の許可

固定合意

要件

・推定相続人全員の合意

・合意対象株式を除くと、後継者が議決権の過半数を確保できないこと

・後継者が合意対象の株式を処分した場合や、先代経営者が生存中に後継者が代表者でなくなった場合に、後継者以外のものが一定の措置をとることができる定めがあること

・後継者による経済産業大臣の確認

・家庭裁判所の許可

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欠損金の繰り戻し還付制度の復活

制度の概要

ケース1

ケース2

ここがポイント！

• 資本金1億円以下の法人が対象
• 資本金が1億円超の法人のＨ4年4月1日〜Ｈ22年3月31日に終了する各事業年度で生じた欠損金は不適用
• 資本金額に関係なく、解散、全部事業譲渡、更生手続等開示の事実があれば、解散事業年度またはその前年度で欠損となった場合も適用可
• 平成21年2月決算から適用対象
• 平成21年2月以降の決算がラストチャンス
• 前期から連続して青色申告書を期限内申告していること
• 申告期限までに還付請求書の提出
• 法人税のみの還付であり法人地方税は対象外
• 欠損が生じた事業年度の前年度に法人税を納付していなければ還付を受けることができない。（繰越しがきかない）
• 税務調査の可能性？
• 当期の欠損金が前期の所得を超える場合は、前期の納付法人税の全額を還付請求したのち、超過欠損金部分を翌年度以降に繰り越せる。
• 産業再生法の認定を受けた場合は、相当程度の設備廃棄（1事業所の場合は全資産の5％以上、複数事業所にわたる場合は全資産の10％以上）を行う場合に生じる資産の除却損、撤去費用、また、希望退職の募集により支払われる再就職斡旋費用、研修費用、割増退職金の割増部分などに関する1年間の欠損金の繰戻還付が受けられる。

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法人税率の引下げ

制度の概要

	改正前		改正後
	年800万円まで	800万円超	年800万円まで	800万円超
資本金1億円超の普通法人	30％	30％	30％	30％
資本金1億円以下の普通法人	22％	30％	18％	30％
一般社団法人	22％	30％	18％	30％
共同組合	22％	30％	18％	30％
学校法人、社会福祉法人、宗教法人等	22％	22％	18％	22％
特定医療法人	22％	22％	18％	22％

ここがポイント！

• 平成21年4月1日から平成23年3月31日に終了する事業年度
• あくまで800万円以下の軽減税率のみの引き下げ（32万円の減税）
• 法人税率＜個人事業所得税率の可能性が高くなるため法人成りの検討
• 会社を分割し、所得を分散させれば軽減税率の適用

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人材投資促進税制の延長

制度の概要

制度概要	単年度教育訓練費総額の税額控除割合（8％〜12％）の税額控除ができる。
	※労働費用＝給与、賞与、法定福利費、教育訓練費
控除限度	法人税額の20％ （他の中小企業等基盤強化税制の税額控除があればその残額）
対象事業者	資本金基準 従業員基準 法人 1億円以下 （但し大規模法人の子会社は除く） （中小企業新事業活動促進法にかかる経営革新等の要件を満たした場合は製造業等で3億円以下かで緩和） 資本金を有しない法人で、常時使用する従業員の数が1000人以下 個人 − 常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主

教育訓練費の範囲

		該当するもの	該当しないもの
対象者	使用人	（1）正社員、(2)契約社員、(3)パート、アルバイト（(5)正社員と同じ業務を遂行している派遣社員、正社員を主体とした当該業務に係る研修に付随して受講し、その企業の職務に必要な技術・知識を習得させる派遣社員）	（1）役員、(2)使用人兼務役員、(3)役員の親族(4)事実上婚姻関係のある者、(5)役員から生活支援を受けている者、(6)入社予定者、(7)請負社員(8)派遣社員(9)内定者等の入社予定者
自社主催の教育訓練費用	講師代	外部講師謝金、交通費、宿泊費、食事代 （子会社、関連会社等の役員・使用人も外部講師の対象）	自社の役員、社員を講師にした場合の報酬、日当等、交通費、受講者の給与 職務に必要といえない教育訓練（自己啓発等）
	施設代	外部施設の利用料金	光熱費、維持管理費、改修費、修繕費等
	設備代	ＯＨＰ，プロジェクター使用料、レンタル料 コンテンツ使用料	ＯＨＰ、プロジェクターの取得費、減価償却費
	テキスト	テキスト代、製作委託料	（1）自社で教科書を製作した場合の制作費、人件費、開発費等 (2)教科書選定のための参考資料資料等の費用 (3)教科書の原本を複写した場合のコピー代 (4)印刷費等
	減価償却資産	少額減価償却資産（10万円未満）で損金経理したもの	取得価額が10万円以上の少額減価償却資産でないもの
	パソコン、ソフト	教材として直接使用した場合	一般の業務用のもの
外部委託費	研修費	外部の研修機関や他社に委託して教育訓練を行った委託費
	研修内容作成委託費	研修計画作成にかかる費用
	講習会・講演会	参加料	人件費、交通費、日当
	国内・国外留学	授業料、教科書代	（1）学資金、（2）留学中に使用人に払う人件費、（3）留学先への寄付金（4）旅費交通費、（5）住居費等（6）使用人への報奨金
	各種資格試験・検定	受験手数料	（1）教育訓練の一環ではないもの （2）資格取得による報奨金
	通信教育	受講料	自己研鑽の受講料
	技術指導	指導料

労務費の範囲

• 給与手当（賞与含む）
• 社会保険料（厚生年金、健康保険）
• 労働保険（雇用保険、労災保険）
• 労働基準法の休業補償費
• 教育訓練費

ここがポイント！

• 労務費用が500万⇒7500円以上の研修費用で減税対象
• 「教育研修費」という勘定科目が大事！
• 個人事業もＯＫ
• すべての業種ＯＫ
• 平成20年4月1日から平成21年3月31日までに開始する事業年度のみが対象（1年間の時限措置）
• 個人の場合は平成21年度申告のみが対象
• 教育訓練の助成金がでる場合は、教育訓練費から控除
• 教育訓練費に関する添付書類の申告書添付

教育訓練費に関する添付書類

• 教育訓練の内容
• 教育訓練の実施年月日
• 教育訓練等の参加者の氏名
• 該当費用の金額の内訳
• 該当費用の支出年月日
• 該当費用を支払った先の氏名、住所

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中小企業等基盤強化税制の延長

制度の概要

条件	購入	リース（注3）
対象設備	取得価額	リース料総額
機械装置	一台280万円以上	一契約280万円以上
機器備品	同種設備120万円以上	120万円以上
	下記のいずれか選択適用
税額控除	取得価額の7％ （法人税額の20％が限度） （控除不足は1年繰越可）	リース料総額の100％相当額の7％ （法人税額の20％が限度） （控除不足は1年繰越可
特別償却	取得価額の30％	適用なし
対象事業者	資本金基準 従業員基準 法人 1億円以下 （但し大規模法人の子会社は除く） （中小企業新事業活動促進法にかかる経営革新等の要件を満たした場合は製造業等で3億円以下で緩和） 資本金を有しない法人で、常時使用する従業員の数が1000人以下 個人 − 常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主 農業共同組合 制限なし 制限なし
対象業種	卸売業 機械装置 器具備品 小売業 機械装置 器具備品 飲食店業 器具備品 電気冷蔵庫 電気洗濯機 ガス機器・・・ 一定のサービス業 機械装置 器具備品

ここがポイント！

• 所有権移転外ファイナンスリースは特別償却の適用ができない
• 減価償却資産として計上する必要があり、30万円未満を一括償却できる少額減価償却資産の特例（措置法28条の2）を利用した場合は適用外
• 資本金3000万円以下の中小企業者等（特定中小企業者）しか取得の場合の税額控除と特別償却の選択適用ができない（それ以外は特別償却のみ）
• 対象業種に注意（特定旅館業は別規定あり）

特別償却か税額控除か

	特別償却	税額控除	特別償却が有利な場合
当期の損金経理額	◎	普通償却とかわらず	利益を抑えたい場合 株価の評価を下げたい場合 当期の納税を抑えたい場合
トータルの節税額	普通償却とかわらず	◎	当期および翌期の法人税額で税額控除できない場合 （繰越不足が1年しか繰り越せないため）

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情報基盤強化税制の改正

制度の概要

青色申告書を提出する事業者が 平成21年4月1日〜平成23年3月31日 までに 情報セキュリティ対策に対応する設備等を取得した場合	資本金の額			選択適用		控除限度
	1億円以下	1億円超10億円以下	10億円超	税額控除	特別償却	法人税額の30％ （控除限度超過額は翌1年間繰越ＯＫ）
情報基盤強化設備の購入額	70万円以上	3000万円以上	1億円以上200億円	取得価額の7％	取得価額の35％
情報基盤強化設備のリース総額 （平成20年4月1日以降締結するリース契約から、 ファイナンスリース取引は全て売買処理となったため、 リース税額控除制度は廃止。また、所有権移転外ファイナンスリースは特別償却の適用なし。	70万円以上	なし	なし	リース総額の100％相当額の7％	−
対象法人	資本金基準 従業員基準 法人のみ 1億円以下の法人 （但し、資本金1億円超の法人1社に株式総数の50％以上を所有されていないこと。 または資本金1億円超の法人複数社に3分の2以上所有されていないこと） 資本金を有しない法人で、常時使用する従業員の数が1000人以下
（情報基盤強化設備の範囲）	(1)ネットワーク管理サーパーＯＳ、同時設置にＰＣサーバー（耐用年数5年のもの）
	(2)データベース管理ソフト、同時設置の遠隔操作ソフト
	(3)ファイアーウォール目的のハードウェア及びソフトウェア
	(4)部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウェア
	(5)SO/IEC15408の認証を受けている投資物
	(6)SaaA・ASP事業者が適用対象（明確化）

ここがポイント！

• 所有権移転外ファイナンスリースは特別償却の適用ができない
• 減価償却資産として計上する必要があり、30万円未満を一括償却できる少額減価償却資産の特例（措置法28条の2）を利用した場合は適用外
• 税額控除と特別償却は適用年度の課税所得額と資金繰り緊急度を考慮し選択

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エネルギー需給構造改革推進投資促進税制の拡充

制度の概要

青色申告提出法人 または個人	選択適用
	税額控除 （※中小企業者のみ）	特別償却 （中小企業者＋大企業）
	基準取得価額の7％ 法人税額の20％が限度 （控除限度超過額は翌1年間繰越ＯＫ）	基準取得価額の30％ ↓ 100％即時償却 （特別償却不足額は翌1年間繰越ＯＫ）
対象設備 対象設備数 基準取得価額 具体例 証明書 エネルギー有効利用製造設備 7 100％ 高性能機械組立設備・・・ 必要 エネルギー有効利用付加設備 26 100％ 高断熱窓ガラス・・・ 必要 電気・ガス需要平準化装置 3 50％ ガス冷房装置 必要 新エネルギー利用設備 22 100％ 太陽光発電設備、バイオマス利用装置 必要 その他の石油エネルギー利用設備 10 100％ 天然ガス利用設備、燃料電池設備 　必要 配電多重化設備 1 50％ 　必要
中小企業者※ 資本金基準 従業員基準 法人 1億円以下 （但し大規模法人の子会社は除く） （中小企業新事業活動促進法にかかる経営革新等の要件を満たした場合は製造業等で3億円以下かで緩和） 資本金を有しない法人で、常時使用する従業員の数が1000人以下 個人 − 常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主

ここがポイント！

• 法人または個人事業者が対象
• 平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間の取得
• 購入額に関する制限なし
• 貸付設備や中古設備は対象外→新品のみ
• 所有権移転外ファイナンスリースは特別償却の適用ができない
• 他の租税特別措置との重複適用不可

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企業再生時の仮装経理法人税額の還付

制度の概要

事業年度		本来の税額	納付税額	控除額	還付額	会計上	申告書上	備考
1期	仮装した事業年度	100	900	―	―			過大納付800
2期	修正経理をした年度	100	100	―	100	前期損益修正損	全額自己否認	納付税額の範囲内で還付
3期	更生が行われた年度	100	―	100	―		別表1（11）	本来税額の範囲内で控除
4期	更生2年目	100	―	100	―		別表1（11）	本来税額の範囲内で控除
5期	更生3年目	100	―	100	―		別表1（11）	本来税額の範囲内で控除
6期	更生4年目	100	―	100	―		別表1（11）	本来税額の範囲内で控除
7期	更生5年目	100	―	100	200		別表1（11）	本来税額の範囲内で控除 残額は還付

仮装とは・・・

• 架空売上の計上
• 当期仕入の除外
• 期末棚卸資産の過大計上
• 当期経費の除外

ここがポイント！

• 仮装経理による法人税の還付は法人の権利ではなく、税務署長の裁量
• 税務署長宛ての「嘆願書」が必要
• 前期損益修正損は具体的な事実を明らかにする名称をつけること（過年度売上修正損失等）
• 前期損益修正損は当期の費用ではないため税務上全額自己否認する。
• 更生の請求は原則として仮装した事業年度の確定申告の提出期限から1年以内に行える。
• 例外的に法定申告期限から5年以内まで税務署長の職権により認められる場合がある。
• 通常の場合は更生決定の日の属する事業年度以降5年間の税額から順次控除される。
• 民事再生法等法的再建（中小企業再生支援協議会策定債務処理計画含む）の場合は開始決定日後1年以内に一括還付請求できる。
• 解散の場合は解散事業年度で還付請求できる。

仮装経理の消費税の還付

• 更生の請求は原則として仮装した事業年度の確定申告の提出期限から1年以内に行える。
• 例外的に法定申告期限から5年以内まで税務署長の職権により認められる場合がある。
• 修正経理は不要
• 一括還付可能

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企業再生関係税制の拡充

資産の評価替え対象項目の拡充

		民事再生法の開始決定時	民事再生法の認可決定時
	選択できる評価方式	開始決定時評価替 （損金経理方式）	開始決定時評価替 （損金経理方式）	認可決定時評価替 （別表添付方式）
				有利子負債10億円以上	有利子負債10億円未満
評価対象資産	棚卸資産	○	○	△（含み損1000万円以上）	△（含み損100万円以上）
	有価証券	○	○	△（含み損1000万円以上）	△（含み損100万円以上）
	固定資産	○	○	△（含み損1000万円以上）	△（含み損100万円以上）
	繰延資産	○	○	△（含み損1000万円以上）	△（含み損100万円以上）
	売上債権	○（追加）	○（追加）	△（含み損1000万円以上）	△（含み損100万円以上）
	貸付債権	○（追加）	○（追加）	△（含み損1000万円以上）	△（含み損100万円以上）
	差入敷金・保証金	○（追加）	○（追加）	△（含み損1000万円以上）	△（含み損100万円以上）
専門家関与人数				3人	2人
繰越欠損金の利用順序	期限切れ欠損金	次	次	最初
	期限内青色決算金	最初	最初	次

ここがポイント！

• 従来、債権は貸倒引当金の設定で対応すべきものとして税務上の損金算入が制限されていたが、今後は直接評価減額が可能となった。
• 有利子負債10億円未満の中小規模の企業再生時には認可決定評価替損がより多額に計上できる。
• 法的整理に準ずる私的整理時も同様の扱い
• 法的整理に準ずる私的整理（私的整理に関するガイドライン、ＲＣＣ準則、中小企業再生支援協議会準則）も同様の扱い

 

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登録免許税、不動産取得税

登録免許税の段階的引き上げの2年据え置き（本則）

		H21年4月-H22年3月	H22年4月-H23年3月	H23年4月-H24年3月	H24年4月-H25年3月	備考
土地の売買による所有権移転登記		1．0％ （1．3％）	1．0％ （1．5％）	1．3％ （2．0％）	1．5％ （2．0％）	（　　）は改正前料率
建物の売買による所有権移転登記	住宅	0．3％	0．3％	0．3％	0．3％	長期優良住宅の場合はH21.6.4〜H22.3.31まで0．1％
	非住宅	2．0％	2．0％	2．0％	2．0％
土地所有権の信託登記		0．2％ （0．25％）	0．2％ （0．3％）	0．25％ （0．4％）	0．3％ （0．4％）	（　　）は改正前料率
会社分割による不動産の取得		0．8％ （0．8％）	0．8％ （0．8％）	1．3％ （0．8％）	未定 （0．8％）	（　　）は改正前料率
合併による不動産に取得		0．4％	0．4％	0．4％	0．4％
現物出資等による不動産の取得		2％	2％	2％	2％

登録免許税の軽減（産業再生法適用）

租特措80条	内容		本則	産業再生法	軽減率
1号	会社設立、資本金の増加		0．7％	0．35％	0．35％
2号	合併		0．15％	0．1％	0．05％
（括弧書き）	（資本金が増加する合併）		0．7％	0．35％	0．35％
3号	分割		0．15％	0．1％	0．05％
（括弧書き）	（資本金が増加する分割）		0．7％	0．35％	0．35％
4号（売買）不動産の所有権移転		土地	1．0％	1．0％	ー
		建物	2．0％	1．6％	0．4％
5号	合併による所有権移転	不動産	0．4％	0．2％	0．2％
		船舶	0．4％	0．3％	0．1％
	分割による所有権移転	不動産	0．8％	0．2％	0．6％
		船舶	2．8％	1．2％	1．6％

不動産取得税の段階的引き上げの2年据え置き（本則）

内容		H21年4月-H22年3月	H22年4月-H23年3月	H23年4月-H24年3月	H24年4月-H25年3月
売買による土地の取得		3％ （4％）	3％ （4％）	3％ （4％）	4％ （4％）
売買による建物の取得	住宅	3％	3％	3％	4％
	非住宅	4％	4％	4％	4％
土地所有権の信託		0％	0％	0％	0％
会社分割による不動産の取得		適格時0％	適格時0％	適格時0％	適格時0％
合併による不動産に取得		適格時0％	適格時0％	適格時0％	適格時0％
現物出資等による不動産の取得	適格	0％	0％	0％	0％
	非適格	売買と同じ	売買と同じ	売買と同じ	売買と同じ

不動産取得税の軽減（産業再生法）

内容		本則	産業再生法
事業譲渡（譲受）による不動産の取得	土地	3．0％	2．5％
	建物	4．0％	3．33％

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 長期保有土地等の1000万円控除

制度の概要

個人または法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までに取得した国内の土地等で、その年の1月1日において5年を超えるものを譲渡した場合には、その譲渡所得額から1000万円を控除する。

ここがポイント！

• 法人および個人
• 棚卸資産としての土地等は対象外
• 清算中の法人は対象外
• 特殊関係（株主含む）にある個人または法人からの取得は対象外
• 合併、贈与、交換等による取得は対象外
• 所有権移転外リース取引による取得は対象外
• 5年以降の期限がないため特例適用を忘れないように。

先行取得土地の課税の特例

制度の概要

ここがポイント！

• 法人または個人事業者が対象
• 中小企業者だけでなく大企業もＯＫ
• 平成21年1月1日から平成22年3月31日までに国内の土地を取得すること
• 先行取得土地の取得日を含む事業年度の確定申告書提出期限までに届出書を提出
• その取得日を含む事業年度の終了日から10年以内に別の土地を売却すること
• 平成21年度取得土地⇒譲渡益の80％の圧縮記帳（平成22年度取得土地は60％）
• 先行取得土地の特例には金額の制限なし
• 他の特例との併用不可（特定資産の買換特例、優良住宅地譲渡の特例・・・）
• 土地を先行取得した年度の確定申告の提出期限までに特例適用の届出書の提出
• 棚卸資産としての土地は対象外
• すでに土地を所有していなくても、これから土地を2物件以上取得し、どれか値上がり幅の大きい物件を売却し、他方の土地を先行取得資産にすることも可能（両方の土地について先行取得土地の届出をしておくこと）

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棚卸資産の評価方法

	Ｈ21年度改正
個別法	継続
先入先出法	継続
後入先出法	廃止
総平均法	継続
移動平均法	継続
単純平均法	廃止
最終仕入原価法	継続
売価還元法	継続

• 平成21年4月1日以降開始する事業年度の法人税から適用
• 現在、後入先出法」と「単純平均法」を選定している法人については、7年の間に他の評価方法に変更

 

「経済危機対策」における税制上の措置（平成21年6月追加補正）

住宅取得等のための金銭贈与に係る贈与税の時限的軽減措置

平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、20歳以上の者がその直系尊属である者から受ける住宅取得等のための金銭の贈与については、当該機関を通じて500万円まで贈与税を課さないこととする。

	現行	改正案	備考
暦年課税	基礎控除 110万円	基礎控除+非課税枠（500万円） 610万円
相続時精算課税	特別控除（住宅特例含む） 3500万円	特別控除＋非課税枠（500万円） 4000万円	相続時に組戻される贈与税の課税価格は3500万円でＯＫ

交際費課税の軽減

資本金1億円以下の法人に係る定額控除限度額を、平成21年4月1日以降に終了する事業年度から、400万円から600万円に引き上げる。

	現行	改正案
定額控除限度額	400万円	600万円
損金算入限度額	360万円	540万円

研究開発税制の拡充

試験研究費の総額に係る税額控除制度等について、平成21年度、平成22年度において税額控除ができる限度額を時限的に引き上げるとともに、平成23、24年度において税額控除の対象とすることを可能とする。

	現行	改正案
税額控除の上限	法人税額×20％	法人税額×30％
控除超過限度額の取扱	翌期1年間だけ繰越控除可能	平成21年、22年度発生分については、 平成24年度までの繰越控除が可能 （上限→法人税額×30％）

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